クリスマスにぴったりの本【クリスマスキャロル】

ディケンズ『クリスマスキャロル』

↑角川文庫『クリスマスキャロル』

ロンドンのクリスマスのごちそうの描写がとても魅力的だ。読んだだけでとても豊かな気持ちになれる。

七面鳥や鵞鳥(ガチョウ)、猟禽(リョウキン)、家禽、塩漬の煮豚、大きな塊肉、仔豚、長くつないだソーセージの環、ミンス・パイ、プラムのプディング、牡蠣の樽詰、赤く焼けた栗、桜色の頬をしたリンゴ、みずみずしいオレンジ、頬の落ちそうにおいしい梨、十二日節の特大のデコレーションケーキなどが床にうず高く積み上げられ玉座のような形をなし、煮え立つパンチから立ち上る良い匂いの湯気で部屋はかすんでいた。      第3章 第二の幽霊 より

これに反してスクルージはお金持ちだが、ケチで人間嫌いで冷酷な人間。そして、ロンドンの街角で一人暮らし。クリスマスの前日、スクルージは3人の幽霊にであう。

3人の幽霊は年老いたスクルージに何を伝えに来たのか。

 

まず初めに、第1の幽霊が登場。

この「過去のクリスマスの幽霊」はまだ、少年だったスクルージの姿を映し出した。スクルージにはかわいらしい妹がいた。優しいハートの持ち主の妹はスクルージをたいそう慕っていた。

 

そして青春時代の若いスクルージは、まだ独りぼっちではなかった。美しい恋人もいた。

ただ、その恋人には結婚持参金がなかった。そのためか、スクルージはほかの女性に心変わりしてしまう。

2番目の現在のクリスマスの幽霊

2番目の幽霊が現れた。何を伝えに来たのか。それが何にせよ、おそらくは悪いことではないだろう。自分にとってためになることに違いない、とスクルージは思った。

幽霊が見せたのは貧しい家族だった。小さい子供ティム坊が父親の横に座って食事をしていた。

「神様、僕たちみんなをお恵みください」

 

・・・・その小さい子供の姿にスクルージは心を動かされた。

「幽霊様、ティム坊は長生きするでしょうか?」

幽霊は冷たく答えた。

「もしあの子が死にそうならそれでよいではないか。余計な人口が減るのだから。」

この言葉はスクルージがかつて放った言葉であった。幽霊はうなだれたスクルージに向かってさらに続けて言った。

「神の目にはこの貧しい男の子供何百万人よりもお前のような人間こそ生きていく値打ちもなければ、生かしておくのにふさわしくないのだぞ」

そして次のビジョンがスクルージの目の前に現れた。

スクルージの甥とその妻の家では今まさにクリスマスを家族で祝う場面であった。そして彼らの伯父であるスクルージの噂話で盛り上がっていた。

人間嫌いで自分たちの「クリスマスを一緒に祝おう」という誘いにものらない、クリスマスが嫌いな偏屈で、お金は持っているけれども、それで自分を幸せにしようともしないし、人も幸せにしようともしない。そんなスクルージに対する批判だった。

それは彼のビジネスパートナーと一緒になってせっせとお金を稼ぎだすことだけを大切にしてきた彼の人生のみじめな結果だった。

 

3番目の未来のクリスマスの幽霊

このままいくとスクルージは未来はどうなっていくのか。3番目の幽霊は何を伝えにきたのか。キーワードは「荒れた墓地に埋葬されているスクルージ」

それを見たスクルージは幽霊に向かって恐ろしさを胸に抱えながら答えて言った。

私は心からクリスマスを尊び、一年中その気持ちで過ごすようにいたします。

私は過去・現在・未来の教えの中に生きます。

 

これまでのスクルージの生き方は金の亡者であった。

3人の幽霊たちはそうしたスクルージの生き方に警鐘を鳴らしに来たのだ。愛あるメッセージとともに。

愛こそが素晴らしい

「クリスマス・キャロル」は私たちの心にもほのぼのとした明かりを照らしてくれる。デケンズが生きた19世紀のクリスマスの描写も読んで楽しく、自分にとって良いクリスマスプレゼントになった。

大人も子供も楽しめる一冊だ。

 

↑児童用「クリスマス・キャロル」

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