【書評】『奇跡のリンゴ「絶対不可能を覆した農家 木村秋則の記録」』

 

久しぶりにこの本を読み返した。
『奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』(平成23年)。

リンゴ栽培には農薬が欠かせない、という常識を覆し無農薬栽培に挑んだストーリーだ。

木村は農薬に代わる何かを探しまわった。醤油・牛乳・酢・クエン酸というように。けれども、リンゴを襲う害虫を防ぐ手立ては見つからない。
そうして5年の歳月が流れ、一家は貧困生活を余儀なくされる。農薬を使っている他の農家のようにリンゴを実らせることはできず、収入もない。万策尽きた木村家の生活。
そのリンゴの木も飢えて死にかけていた。

 

 

そのとき、木村は何を思ったのか、畑のリンゴの木に向かってお願いをした。

1本1本に頭を下げて、
『無理をさせてしまってごめんなさい。花を咲かせなくても、実をならせなくてもよいから、どうか枯れないでちょうだい。』

・・・・・ここの場面は、とても心を動かされる。
人間が、木に、枯れないように、とお願いして回る。

木もまた、人間と同じように生きている。どうしたら無農薬でリンゴの実がなるのか、試行錯誤の後に、枯れる寸前まで追い込んでしまった木村の無念さがひしひしと伝わってくる。

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木村は万策尽き、とうとう死に場所を探しに山中をさまよう。
満月の明るい晩だった。その視線の先にドングリの木があった。そのドングリの木の根はとてもしっかりとした健康な木だった。

木村は思いついたのだ。
たくさんの実を実らせるには、このドングリの木のような環境を整えればいい!

このふかふかの土だ!

この土を作ればよい!

 

 

そうして木村秋則はリンゴの木に無農薬で実を結実させることに成功するのだ。

最後にとても興味深いことが書かれていた。

リンゴの木が枯れそうになったとき、彼はリンゴの木に「どうか枯れないように」とお願いしてまわった。

実は、彼はリンゴの木全部に声をかけたわけでなくて、声をかけずにすませたリンゴの木があり、

その木々は全滅してしまった。

 

木村が9年かけてたどりついた答え。不可能を可能にした苦闘。

リンゴの命の物語。

どれもこれも、感動的だった。

 

 

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